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【家庭用蓄電池の選び方】蓄電池の適切な容量を知る方法は?

家庭用蓄電池選びにおいて、「容量」は大切な選択基準です。
容量は価格や性能に大きな影響を与えます。
また、5kWh未満のコンパクトなタイプから、15kWhを超える大容量タイプまで、家庭用蓄電池の容量は種類豊富です。

そこで今回は、初めに家庭用蓄電池の容量について解説し、日常的に使用する家電製品の消費電力量や容量の適切な選び方、容量別の人気製品を紹介します。
家庭用蓄電池選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。

1. そもそも家庭用蓄電池の「容量」とは?

そもそも家庭用蓄電池の「容量」とは?

家庭用蓄電池の容量とは、 蓄電池に蓄えられる電力量のこと です。
カタログやWebサイトを見ていて、「7.0kWh」や「10.0kWh」などの数字を目にしたことはないでしょうか。
この数字が容量で、単位は「kWh(キロワットアワー)」となります。

kWhの計算式
kWh(電力量) = kW(電力)x h(時間)

例えば、7.0kWhの家庭用蓄電池であれば、1kWの家電を7時間使用することが可能です。
一般的な照明器具は100W(0.1kW)程度の消費電力であるため、7.0kWhの電力量があると、70時間もの長時間使用することができます。

このように容量が大きい家庭用蓄電池であればあるほど多くの電力量を蓄えられ、 停電時に家電を長時間使用できるほか、蓄えた電力を自家消費するなど電気料金の節約が可能 です。

1-1. 定格容量と実効容量の違い

家庭用蓄電池の容量には、定格容量と実効容量の2つの種類があります。

定格容量 規定された条件下で、家庭用蓄電池に蓄えられる電力量
実効容量 実際に利用できる電力量

一般的に、 家庭用蓄電池の製品欄に記載されている容量は定格容量 です。

定格容量と実効容量の違いは、紙に文字やイラストを印刷をする際の「実際の紙の大きさ」と「印刷可能な範囲」の違いに似ています。
紙に文字やイラストを印刷する場合には余白を残すため、印刷可能な範囲は実際の紙の大きさよりも少し狭い範囲となるのが一般的です。

家庭用蓄電池では蓄電量が0%となることを防ぐため、セーフティー容量が設定されています。
したがって、家庭用蓄電池の実際に利用できる容量(実効容量)は、定格容量よりも若干少なくなっています。

定格容量と実効容量の差は製品や各メーカーにより違いがあり、一律ではありません。
一般的には、実効容量は定格容量に比べ10%程度低くなるといわれています。

2. 日常的に使用する家電製品の消費電力量

日常的に使用する家電製品の消費電力量

家庭用蓄電池は容量が大きいほど多くの電力を蓄えられ、長い時間家電製品を利用できる製品です。
ただし、容量が大きいほど価格も上昇する傾向にあり、単純に大容量の家庭用蓄電池を選ぶと、損をしてしまう可能性もあります。

適切な容量の家庭用蓄電池を選ぶためには、 日常的に使用する家電製品がどれほどの電力を消費するかまず知っておくことも大切 です。
下記に主な家電製品の消費電力を紹介しますので参考にしてください。

キッチン家電製品 冷蔵庫 150~500W
炊飯器 350~1300W
電子レンジ 1300W
IHクッキングヒーター 1400~3000W
オーブントースター 1200~1350W
電気ポット 700~1000W
ホットプレート 1300W
生活家電製品 テレビ 150~300W
エアコン 800~1000W
洗濯機 500~900W
掃除機 1000~1100W
扇風機 50~60W
ドライヤー 1200W
アイロン 1200~1400W
照明器具 100W
携帯端末や
パソコン製品
携帯電話(充電時) 15W
Wi-Fiルーター 10W
デスクトップパソコン 150~300W
ノートパソコン 50~120W

上記のように、家電製品により必要な電力には大きな違いがあることが分かります。
なお、上の表の数値は、 あくまで一般的な家電製品の消費電力の目安 です。
同じ家電製品でも、実際の消費電力とは異なる場合があります。

3. 【家庭用蓄電池】適切な容量の選び方は?

【家庭用蓄電池】適切な容量の選び方は?

それでは、自分の家庭に適切な容量の家庭用蓄電池はどのように選べばよいのでしょうか。
1つは、 蓄電池を設置する目的から考える方法 です。
家庭用蓄電池を設置する目的には、太陽光発電システムで得た余剰電力の活用や深夜電力の活用などの目的があります。

また、 自分の家庭が1日で消費する電力量も、適切な容量選びのポイント です。
1日にどれくらいの電力を消費するかによって、適切な容量も変化します。

さらに、停電時にどのような家電製品を使用するか、太陽光発電システムでどれくらいの発電を行っているのかも、容量の選択に重要なヒントを与えてくれます。

家庭用蓄電池の容量は、さまざまな視点から適切な容量のものを選ぶ方法がおすすめです。
ここでは、4つの観点から適切な容量の選び方を解説します。

3-1. (1)蓄電池を設置する目的から考える

家庭用蓄電池を設置する経済的な目的は、 主に「余剰電力の自家消費」と「深夜電力の活用」の2つ です。

「余剰電力の自家消費」は固定買取が終了した場合が想定できます。
太陽光発電システムの余剰電力を売電するよりも、家庭用蓄電池に余剰電力を貯め、夜間に自家消費するほうが経済的となる場合です。

余剰電力を自家消費する場合は、毎月の売電量を基準にしましょう。
1日あたりの売電量を蓄えられる容量の家庭用蓄電池を選択すると、余剰電力を効率的に使用できます。

「深夜電力の活用」は主に固定買取終了前の場合です。
太陽光発電システムで発電した電気は基本的に売電し、自家消費分は割安な深夜電力を家庭用蓄電池に貯めて使用することで、電気料金を節約できます。
しかしこの方法はダブル発電にあたり、一昨年(2018年)以前にFITを始めている方の場合は、FIT価格を下げられてしまうことに注意が必要です。

深夜電力を活用する場合は、ダブル発電用の蓄電池を使用しなければ、基本的に太陽光の消費が優先される仕組みとなることも覚えておきましょう。
そのため、深夜電力の活用は、太陽光の立ち上がりの朝と太陽光が沈み始める夕方から夜にかけて使用することが一般的となります。

3-2. (2)1日あたりの消費電力量から考える

家庭用蓄電池の設置目的に加え、1日あたりの消費電力量を把握しておくと、より適切な容量が判断できます。
例えば、深夜電力の活用を目的とし、1か月の平均電力消費が日中の時間帯で約210kWh、夜間の時間帯で約300kWhとなる家庭のケースで考えてみましょう。

日中の1日あたりの消費電力量は210kWhを30日で割った「7kWh」です。
この場合、7kWh前後の容量の家庭用蓄電池を選択すれば、日中も割安な深夜電力でまかなうことができます。

太陽光発電システムの余剰電力を活用する場合も、 売電量とともに1日あたりの消費電力量を考慮すれば、より詳細に必要な容量を判断できます。

なお、 1日あたりの消費電力量の把握は、電力会社の会員向けサービスからの確認が便利 です。
その他、毎月の電気料金が記載された検針票から、1日あたりの消費電力量を割り出すこともできます。

3-3. (3)停電時の家電製品の使い方から考える

家庭用蓄電池を停電時の備えとして購入したい方には、停電時のどのような家電を使用するかから、適切な容量を判断できます。
ここでは、2つのパターンの使い方を考えてみましょう。

 停電時に最低限の家電製品のみ使用する

冷蔵庫 150W
テレビ 150W
携帯電話(充電時) 15W
リビングの照明 100W
Wi-Fiルーター 10W

上記の家電製品を1時間使用すると、0.425kWhの電力量を消費します。
8.5kWhの容量があれば、約20時間使用できる計算です。

 停電時に通常通りの家電製品を利用する

冷蔵庫 150W
テレビ 150W
携帯電話(充電時) 15W
リビングの照明 100W
Wi-Fiルーター 10W
エアコン 800W
IHクッキングヒーター 1400W

エアコンや調理器まで考慮すると、1時間で2.625kWhの電力を消費します。
8.5kWhの容量では3時間強しか電力量は持ちません。
そのため、停電時にも空調や調理器具を利用したい場合は、より大容量の家庭用蓄電池が適しています。
また、容量だけでなく出力も重要となることも覚えておきましょう。

3-4. (4)太陽光発電システムの発電量から考える

家庭用蓄電池の容量を判断するときに、太陽光発電システムの発電量から考えることも1つの手段です。
例えば、5kWの太陽光発電システムで年間発電量を5,500kWhと想定した場合、1日あたり約15kWhの発電が見込めます。
日中の平均的な消費電力量を4kWhと仮定すると、約11kWhが余剰電力となる計算です。

ただし、 太陽光発電システムの発電量は一定ではありません。
天候により、同じ5kWhの太陽光発電システムでも、1日あたり10kWhを下回る場合もあれば20kWhを超える場合もあります。
毎日変化する発電量に合わせて家庭用蓄電池の容量を判断するのは困難です。

したがって、太陽光発電システムの発電量はあくまで判断材料の1つにとどめることをおすすめします。
設置目的や1日の消費電力量を中心に、補助的に太陽光発電システムの発電量を考慮するとよい でしょう。

まとめ

家庭用蓄電池の容量は、蓄電池に貯められる電力量のことです。
適切な容量の選び方には、設置目的や1日あたりの消費電力量など、いくつかの視点があります。
自分の家庭の状況や環境と照らし合わせ、適切な容量の家庭用蓄電池を選択してください。

エネタウンでは、今回ご紹介したダイヤゼブラ電機「EIBS7」やファーウェイ「LUNA2000」をはじめ、さまざまな人気製品を取り扱っています。
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監修

エネワールド株式会社 お客様サポート部 岸上朋子
エネワールド株式会社 お客様サポート部
岸上朋子

「お客様にピッタリの蓄電池をご提案する」ことをモットーに、エネタウン.jpを運営しています。

蓄電池やV2Hをご検討の方とのやり取りだけではなく、エネルギーに関する記事の執筆や監修を通して、卒FIT後の太陽光発電について皆様のお役に立てるよう、日々業務に取り組んでいます。

特に難しい「補助金についての解説」は、わかりやすくを念頭に、伝える努力をしております。 エネルギーの事ならいつでもお気軽にご相談ください!

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