2016年に電力が自由化されてもうすぐ10年になろうとしていますが、そもそもどういう仕組みなのか、今市場はどうなっているのかを調査しました。
新電力の中でも大手や注目の電力会社を紹介していきますので、電気会社を探している人はぜひ参考にしてみてください。
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新電力の市場の今を調査!
新電力の仕組み
新電力とは、電力の自由化に伴って参入した新規の電力会社のことです。
2016年4月に「電力の小売り全面自由化」により大手電力会社(一般電気事業者)以外にも、さまざまな企業が電気小売事業に参入し、ガス会社や通信会社などが、新電力会社として新規参入し、多くの電力を販売する会社が誕生しました。
今まで電気は、大手電力会社が、発電→送配電→小売までを一貫して全て行っていました。
この3つの部分がそれぞれの部門に分けられ、その中でも
小売部門(電力を販売する部門)に様々な会社が参入できるようになったことを電力の自由化と呼んでいます。
また、その部門に新しく参入した会社を「新電力」と呼んでいます。
新電力の会社の多くは、電力の市場取引や大手の所有する発電会社から電気を購入しています。
中には、自分たちで発電を行う会社も存在しています。
しかし、送電(電線を使って一般家庭まで電気を届けること)は、新たにインフラを引かなければいけないため、大手電力が所有している送配電網を借りており、「託送料金」を大手電力会社に支払っています。
PPSとは
PPSとは「Power Producer and Supplier」の略で、日本語にすると「特定規模電気事業者」という意味です。 電気の需要者に対して電気が供給できる電力会社を指します。
日本では、電気の供給には電気事業法という法律があり厳しく制限されています。
一般電気事業者(大手電力会社)、卸電気事業者、特定電気事業者として認可されている業者のみが電気供給することを許されています。
2000年3月にこの電気事業法が改正され、電気を供給できる業種に特定規模電気事業者=PPSが追加され、初めは特別高圧区分に限って電気が自由化がスタートしました。これに伴い、工場や商業施設、オフィスビルなどの大規模の施設は、電力会社を自由に選べるようになりました。
PPSは「特定規模電気事業者」という名称です。 電気事業を統括している経済産業省もPPSを「特定規模電気事業者」としていましたが、 分かりにくいという声が相次ぎ、2012年3月からPPSを「新電力」と定義づけを変更しました。
現在はPPSは「新規電気事業者」を指すようになりました。
新電力の今の市場はどうなってる?
2023年11月の段階で、電気の全販売電力量に占める新電力のシェアは、約16.0%でした。 新電力の登録数は増加傾向にあったものの、2022年1月をピークに減少傾向にあります。
2024年12月の段階での小売り電気業者の登録数は、746です。
電力自由化の下で脱炭素化を進めていることもあり、火力発電所の休廃止が進展しています。再生可能エネルギーの導入量は確実に増加しているものの、足下では供給量が減少傾向にあるのも事実です。
2022年には東京電力管内、東北電力管内で電力需給がひっ迫するなど、安定供給に関する課題が顕在化しています。 ここにウクライナ情勢などにより電力の市場価格の高騰が長引き、契約停止や撤退する企業も相次いで発生しています。
帝国データバンクの「新電⼒会社」事業撤退動向調査によると、新電力会社(登録小売電気事業者)706 社のうち195社が契約停止や撤退、倒産や廃業などを行ったということです(2023年3月24日時点)。これは事業者全体の構成比の27.6%にあたります。
次に2023年の1年間の推移を見ていきます。2022年3 月末時点では、契約停止や撤退、倒産や廃業などを行った事業者は累計31社でしたが、同年6月には累計104社に急増し、今回2023年3月末時点で195社となりました。1年間で6.3倍に急増したことになります。
今後もエネルギー高の影響は継続し、契約停止や撤退をする事業者が増えていくことも予想されます。一方、2023年1月からは政府の電気料金緩和対策による料金値引きも行われており、新規受付を再開する業者もわずかに見られます。また、中期的には電力調達価格が安定していけば、登録企業が増加する可能性があります。
新電力の大手
旧電力と呼ばれる大手の電力会社は以下の通りです。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 中部電力
- 北陸電力
- 関西電力
- 四国電力
- 中国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
新電力が参入するまでは、電力会社はこの10社のみでした。
家庭用・商店用の低圧分野
家庭用・商店用の低圧分野で2024年12月現在の新電力会社の大手は以下の通りです。
電力販売量(1,000kWh) | |
---|---|
1位:東京ガス株式会社 | 1,505,546 |
2位:株式会社エネット | 892,620 |
3位:大阪瓦斯株式会社 | 890,627 |
4位:丸紅新電力株式会社 | 736,394 |
5位:ENEOS Power株式会社 | 663,511 |
6位:ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 | 610,153 |
7位:株式会社エネット | 534,163 |
8位:株式会社CDエナジーダイレクト | 515,167 |
9位:auエネルギー&ライフ株式会社 | 491,271 |
10位:株式会社ハルエネ | 480,453 |
1位 東京ガス株式会社
首都圏を中心に都市ガスを提供している130年の歴史のある会社。 火力発電所向けの天然ガス調達、発電所の建設・運営、卸電力市場への販売などもおこなっている。
電力は、2016年4月から「低圧」(家庭や商店向け)の販売を始めました。 約160万kWの電源規模で安定した供給をしています。 ガスと電気のセット割や、40万件を超える電気利用申し込み数を誇り(2016年7月20日)新電力の中で、群を抜いて最大手となっています。
2位 株式会社エネット
NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの共同出資により設立された新電力で、沖縄と島嶼部を除いて全国的に事業を展開していつ会社です。 オフィスビルやスタジアム、自治体・公共施設など全国で約2万ヵ所の施設に電気を供給しています。
2万件以上の販売件数を誇り、見える化サービスの提供やデマンドレスポンスサービスの提供をしています。
3位 大阪瓦斯株式会社
関西を中心(とくに近畿エリア)を中心にガスを販売している会社。(大阪ガス株式会社) 東京ガス、東邦ガス、西部ガスと並ぶ大手4大都市ガス事業者の一つです。
都市ガスやLPガス、液化天然ガス(LNG)などの販売に加え、工場や商業施設向けの電気の販売も行っています。一般家庭向けの電気は、2016年の電力自由化開始とともに販売を始めています。
工場やビルなどの高圧分野
工場やビルなどの高圧分野で2024年12月現在の新電力会社の大手は以下の通りです。
電力販売量(1,000kWh) | |
---|---|
1位:株式会社エネット | 550,259 |
2位:丸紅新電力株式会社 | 459,746 |
3位:日本テクノ株式会社 | 401,966 |
4位:ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 | 345,405 |
5位:株式会社関電エネルギーソリューション | 296,449 |
6位:九電みらいエナジー株式会社 | 258,169 |
7位:株式会社U-POWER | 243,967 |
8位:ENEOS Power株式会社 | 226,252 |
9位:デジタルグリッド株式会社 | 174,621 |
10位:株式会社CDエナジーダイレクト | 161,953 |
1位 株式会社エネット
NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの共同出資により設立された新電力で、沖縄と島嶼部を除いて全国的に事業を展開していつ会社です。 オフィスビルやスタジアム、自治体・公共施設など全国で約2万ヵ所の施設に電気を供給しています。
2万件以上の販売件数を誇り、見える化サービスの提供やデマンドレスポンスサービスの提供をしています。
2位 丸紅新電力株式会社
丸紅は、食品・繊維・化学品・エネルギー・金属・産業機械・船舶・金融などあらゆるジャンルを取り扱う巨大企業です。その子会社として、2015年に丸紅新電力株式会社が誕生しました。
現在、日本国内では32か所の発電所を丸紅グループとして運営しており、内製化された高度な電力需給運用能力を強みとしています。需要家のニーズである電力の低価格提供や安定供給に加え、グリーン・サステナブルな付加価値の創造にも力を入れています。
3位 日本テクノ株式会社
日本テクノ株式会社は、電気に関する幅広い事業を展開し総合的な電力インフラサービスを提供している企業です。
1995年に神奈川県で創業以来、高圧電気設備24時間監視装置「ESシステム」の開発やテクノ電気設備保証サービスを開始するなど、さまざまな電力に関するサービスを提供しています。
2012年8月に千葉県袖ケ浦市で110MWのLNG火力発電所「日本テクノ袖ケ浦グリーンパワー」の全面運転を開始し、2021年末時点では「日本テクノ上越グリーンパワー」「日本テクノ那珂グリーンパワー」など、5カ所の発電所を保有・運用しています。
新電力の電気料金の目安単価は?
新電力の電気料金の目安単価は、「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」により決められています。 理由としては、ご契約の小売り電気事業者により電気料金は異なります。 そのため、家電公取協では、「電力取引報」(「経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会」公表)における全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値などに基づき、目安単価を算出しています。なお、12月現在の単価は、令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です。
電気料金単価は電気料金や契約している電気料金プランによって異なるので、電力会社から送られてくる検指標でご自身に適用されている電気料金単価を確認しましょう。
これを基準とし電気代は、「基本料金」「電力量料金(燃調費調整額を含む)「再生可能エネルギー発電促進還付金」の3つでできています。
基本料金
基本料金は、電力会社やプランによって異なる最低料金のことです。電力使用量に関わらず、毎月一定の基本料金が請求されます。 基本料金を0円と設定している会社もあるので、電気会社を選ぶ基準の1つに加えてみてください。
電力量料金
電力量料金は、電力使用量に応じて支払う料金のことです。電力量料金は3段階料金制をとっている電力会社が多く、使う電気が多いほど電力量料金が高くなり、それに伴い電気代も高くなります。
また、電気料金は電力使用量に応じた料金から燃料調整額を加算または差し引いて算出します。(燃料費調整額は、原油や石炭などの火力燃料の価格変動を電気料金に反映させるための金額です。)
燃料費調整額により、火力燃料の価格が上がると電気料金が上がる仕組みです。
また近年、市場調整料金も追加され一部の電力会社ではこの市場調整料金を採用し、市場価格の変動に応じて毎月の電気料金を調整しています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーによる電気を買い取るためにかかる料金のことです。
電力会社を通じて国に支払われており、「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1カ月の電力使用量」で算出されます。
単価は全国一律で、経済産業大臣が年度ごとに設定しています。
2024年度の単価は3.49円/kWhです。(2024年5月分~2025年4月分)
新電力のおススメの電力会社5選
新電力の低圧分野における小売電気事業者の登録数は2024年9月末時点で734社です。
いろんな会社があるので少しでも電気代を抑えたい時に、おすすめの電力会社をピックしました。ぜひ参考にしてみてください。
Japan電力
2005年に設立された新電力の会社です。沖縄を除く全国に電力を供給しています。
基本料金が0円で400kWhを超えるまでは料金が一律で変わらないので、電気を沢山使用するご家庭にぴったりの電力会社です。
くらしプランSや、しごとプランS、Tプランなどご家庭向けや商店・事務所などに合わせて選べます。
2025年1月にTプランに申し込んだ方には最大5000円引きになるキャンペーン開催中! 気になる方はぜひ、ジャパン電力へ!
ミツウロコでんき
ミツウロコでんきを運営するミツウロコグリーンエネルギー株式会社は電力サービスのほか、風力や太陽光などによる発電事業も手がけている新電力会社です。
「シングル応援プラン」があり一人暮らしの方や、あまり電気を使わない家庭なら節約になるような料金設定になっているのがとても魅力的です。 「シングル応援プラン」のほかにも「重量電灯A/B/C」も選べます。
東京ガス
東京ガス株式会社は、1885年に設立したガス会社。2016年から一般家庭向けに電力供給も行っており、新電力の最大手の会社です。
ガスと電気のセットで契約するとセット割が適用され、電気の基本料金と電力量料金(税込)の合計金額0.5%が割引されます。
ほかにもさすてば電気など、環境に配慮したCO2排出量ゼロの電気が利用できます。
HTBエナジー
2016年2月から小売電気事業者として登録し、電力サービスを提供している新電力の会社です。
毎日2時間無料の「ママとくプラン」があり、 毎日決まった時間にたくさん電気を使う方におススメです。
また、「ベーシックプラン」を契約すると、電気や水道、鍵などのトラブルに24時間対応してくれる駆けつけサービス「あんしんサポート365プラス」が無料で利用できます。
TERASELでんき
株式会社エネクスライフサービスが提供する電力サービス。ほかにも、自動車・レンタカー事業に取り組んでいる。
電気量の多い家庭にも使用量が少ない家庭向けにもプランが充実しており、基本料金は契約アンペア数によって異なり、電力量料金は3段階に設定されています。
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